こだわりの加工技術から、何が生みだされたか?

前回の定番素材のご紹介編では、製品開発チーム ATELIER.K のものづくりにおける背景や強み、そして、展示会出展のためにチョイスされた素材をご紹介しました。

今回はその定番素材に施した加工方法について、ご覧いただきましょう。20年以上経験のある職人ですら初の試みとなる加工にも、果敢に取り組みました。

さらに加工後、どんな製品が生み出されるのかも一つひとつご紹介します。

HIKARI加工・KASUMI加工・BARIKATA加工・FUKURO加工といった、こだわりの加工技術から生み出される、ATELIER.Kオリジナル製品とは…。

HIKARI加工/KASUMI加工

HIKARI加工とKASUMI加工は、生地にPUラミネートを施し、フィルムごと染めていく加工方法です。本来は防風性、防水、耐久性などを高めるため、合成繊維へ施すのが一般的。多くはアウトドア製品などに使われています。

この加工を施すのに、KOWAの定番綿素材である綿強撚ツイル<KW1001>と、綿タイプライター<KN80145RD>をセレクトし、素材のバリエーションで麻とナイロンも加えました。それぞれの生地に、ツヤのあるラミネートHIKARI加工と、マットなラミネートKASUMI加工を施しました。

じつは今回の天然素材へのラミネーション加工は、経験20年を超える職人でも初となる試みでした。HIKARI加工やKASUMI加工による意匠性を重視し、後加工によって天然素材ならではの素材感を引き立たせているのです。

HIKARI加工の製品

HIKARI加工は光沢感のあるラミネート加工。

この加工を麻100%の天然素材やKOWA定番の綿素材に施し、天然素材から近未来感のある新しい素材に生まれ変わらせました。

AK1857/リネンフードブルゾン<BLK6080MR

リネンキャンブリック<BLK6080>も、シャツに使われる機会が多い素材。その定番素材にHIKARI加工をすると、光を放つような質感の全く異なる素材へと進化しました。

ATELIER.Kでは、生み出された素材の持つ近未来的な雰囲気を活かし、フードブルゾンを製作。上質な高輝度の薄膜を施して、立体的に仕上げています。

KASUMI加工の製品

KASUMI加工はマットな質感のラミネート加工。

この加工をKOWA定番の綿100%のタイプライターや、綿強燃ツイル素材に施すと、天然素材から合繊のようなタッチの新しいファブリックが誕生しました。

AK1855/Cottonツイルバルカラーコート<KW1001FD

綿強撚ツイル生地は、もともとアウターに適した素材。KASUMI加工を施すと、まるでレザーのように仕上がります。

コットンと加工後の両方の質感が楽しめるよう、AK1855はリバーシブル仕様に仕上げました。

AK1856/コットンタイプライターフードブルゾン<KN80145FD

高密度タイプライター<KN80145RD>は通常、画像のようにシャツ生地として使われる素材です。

ところがKASUMI加工をすると、画像のようにペーパーライクな質感へ様変わり。立体感のある素材を活かし、パリっとした軽量のフードブルゾンに仕上げました。

AK1855/ナイロンバルカラーコート

こちらの製品は、ナイロン生地にKASUMI加工を施しています。春らしい透け感で、まるで朝霞をまとっているようなスプリングコートに。

「アウターは軽量派」という人に、ぴったりな仕上がりになっています。

BARIKATA加工

BARIKATA加工は、独自の特殊加工により繊維を膨潤させ、ふくらみを持たせる加工方法です。加工後は生地自体がボリュームアップ。すると自立できるほどの硬度を持った、スタンディングファブリックへと変化を遂げるのです。

BARIKATA加工の製品

BARIKATAシリーズは、KOWAではおなじみの綿×コーデュラナイロン<KW7004>に特殊加工を施し、強度を持つスタンディングファブリックに仕上げました。

BARIKATA加工によって空気をまとったような構築的なシルエットが生みだされ、雰囲気あるドライタッチな表面の仕上がりになっています。

AK1858/コーデュラバルカラーコート<KW7004KB

AK1859/コーデュラパンツ<KW7004KB

AK1860/コーデュラバッグ<KW7004KB

BARIKATA加工に使われた素材<KW7004>は、加工前は柔らかい風合いのしなやかな生地でした。そこに加工を施すと、コーデュラ部分が溶けて硬くなり、異なる様相へ。

いずれの製品も、後加工によってドライ感やコンパクト感が生まれ、強度も増してより丈夫に仕上がっています。ATELIER.Kでは、この素材特性を活かして、バルカラーコートとパンツとバッグを製作。雑貨類を作る際にも、ぴったりな加工方法です。

FUKURO加工

FUKURO加工は、その名の通り、袋に入れて製品を染めています。一つひとつ袋に入れて製品染するので、表情がすべて違う染まり方とその美しさの、唯一無二の仕上がりにご注目ください。

FUKURO加工の製品

FUKUROシリーズは、綿素材や縦横ストレッチ性のあるナイロン素材を、あえて袋に入れて染め、ムラ感を出しています。日本の職人たちの技が詰まった遊び心のある商品です。

AK1852中綿ジャケット/AK1853中綿パンツ

高密度タイプライターの綿生地に中綿を入れ、ライトジャケットとパンツを作成。タイダイのような染上りも魅力です。

AK1851ナイロンパッカブルフードブルゾン

パッカブル仕様のフードブルゾンは、背面にポケットが付いており、コンパクトに収納可能な優れもの。持ち運びも便利で、利便性抜群です。

素材から加工方法までこだわったからこそできた、個性豊かな製品たち。加工前と後の質感などにも注目して、ファッションを楽しんでもらいたい…そんな想いが詰まったアイテムです。