2025.2.27
The Cotton Makers Studioの裏側〜若手のホープにインタビュー〜


ーまずは自己紹介をお願いします!
E氏:営業第六部営業二課のEと申します。出身は福岡で、本州に憧れてこの会社に入りました。主に生機売りと、不織布の仕事を担当しています。
ーこの業界に入って何年目になりますか?
E氏:4年目です。ただ、営業部配属が3年目の6月からだったので、1年半ほど経ちました。
営業部のお仕事〜提案編
ー新しく提案する生地はどうやって決めていますか?
E氏:月に1回、課内で営業会議をやっています。会議で「こういうの作った方が面白いんじゃないか」「こういう加工を入れよう」という話し合いをして決めています。
もう一つの方法は、お客様がやってみたいことを形にしていく方法です。 あとは、思いつきでやってみることもありますね。

ーなるほど、思いつきも大事ですね。ちなみに、原料調達について、他社と比較してKOWAだからこそできるすごいことがあれば教えてください。
E氏:はい。毎月、海外から輸入するコンテナに相乗りして輸入することで、ベストプライスを出せるところではないでしょうか。
それから、機屋(はたや)さんとの繋がりが非常に強い。納期に対しても真摯に向き合ってくださいます。
ー競合と比べた時に、どんなところが強みだと思いますか?
E氏:凝った規格をやってるところは強みなんじゃないかなと思います。例えば、40/2強撚のツイル<OGV4202>は、他社が持っていないものです。
あとは、自分たちで糸から買って生地を作る仕掛けの業務。 流れを皆把握しているので、そこも強みなんじゃないかなと思いますね。
ーということは、お客様からリクエストいただいた課題に対して、 比較的自由度が高いというか。
E氏:そうですね。上長からも「新しいものを作れ」と、常に言われてます。それをしやすい環境にいるのではないかと思います。
ーお客様はKOWAに何を求めていると感じますか?
E氏:総合的に見ると、うちの強みの1つでもある生機在庫機能ですね。他社でも行っている会社はあるのですが、KOWAは品番数を多く構えています。
結果、お客様に対して迅速な対応ができること、これが非常に強いのかなと感じています。

ーここ最近の方向性としてお客様は何を求めていますか?
E氏:求めているというか、最近はこれまで中国に頼っていたところを分散する動きをされている会社が多い印象です。あとは、トレーサビリティが取れるオーガニックコットンの需要は高まっていますね。
ーその場合、分散先の国はどの辺りになるんでしょうか?
E氏:様々ですが、主軸の日本以外で言えば、インド、パキスタン、インドネシア、タイになるかなと思います。
ーその中でも優先順位としてはどこが挙げられますか?
E氏:そこは本当に様々ですね。客先が何を求めてるのかによって変わります。
ーお客様のニーズに合わせ、単価の兼ね合いなどで調達するところが違ってくるってことでしょうか?
E氏:たとえばプリント用途の案件だと、 異原糸※1が多少出てもいいので、コンタミフリー※2じゃなく通常の綿を使って生機(きばた)※3で輸入してくるパターンもあれば、絶対に異原糸はダメという場合もあります。
※1 異原糸:紡績糸に混入した異なる繊維や不純物。
※2 コンタミフリー:異原糸が混入していない状態のこと。
※3 生機:糸を織り上げたままの布で、染色・仕上げ加工される前の布。
ー商談メモを見せていただけないでしょうか?

E氏のTO DOリスト
日々の忙しさがひしひしと伝わってくる・・・
ーお客様のニーズはどのようにくみ取っているのでしょうか?工夫していることなどあれば、ぜひ聞かせてください。
E氏:それは今絶賛習得中なんですけど、 ポロっと「こういうのやりたいんだよな」みたいなことをお客様が言ったりするんですよね。その時にメモを取って「あの時こういうこと言ってたと思うんですけど、こういうのどうですか」という提案をするようにします。
あとは、スワッチ※4を見せた時のお客様の反応ですよね。触った感じとか、反応を見て「また同じものを持って行っても多分次も同じ反応されるな」ってわかったら、それ以外のものを持って行きますね。
※4 スワッチ:生地や素材の見本

ー営業としてどう攻めるか、具体的に教えてください
E氏:お客様が得意なゾーンとあまりやってないゾーンがあるので、あまりやってないゾーンをちょっと増やすような行動を取るようにしています。
ー先輩のアドバイスで心に残ったことはありますか?
E氏:沢山ありますね。その中でも、先輩たちは無駄をなくして要点を押さえることに関して、非常に効率化をしているので。メールの内容1つでも、学ぶことが多いです。

営業部のお仕事〜成約時編
ーどのようにして成約に至るんですか?
E氏:いや、もう本当に様々なんです。とある成約時の話をすると、定番のオックス<OGOX2016>がどこの会社も売り切れていて、在庫がない状態だったんですよね。ただ、うちには在庫があって、偶然訪問した客先に、今すぐにでも400反欲しいと言われて、即納したこともあります。
あとは、課内会議の中で出た企画を見本反を入れて、上がってきたものを提案したら決まった商品もありますね。
ー成約が決まった時はどのように感じますか?
E氏:やっぱり営業をやってる以上、非常に嬉しいですね。物を売らないと僕らも立場がないので。

営業部のお仕事〜納品編
ー納期を間に合わせるために工夫してることや、苦労してるところはありますか?
E氏:KOWAはオーガニックコットンをコンテナ単位で買ってるんですけど、テロや海賊行為の影響でスエズ運河が通れないんです。通常納期よりもかなり時間がかかるような状況でして。
お客様はすぐにでもその糸を使った生機が欲しいって言われているのですが、その糸が入らないことにはどうしようもできない。自分でコントロールできない難しさがあり、糸の納期にはちょっと苦労しています。
ー世界情勢が絡んできてしまうということですね。逆に、上手くいった工夫とかありますか?
E氏:たまたまうまくいった案件があって、この品番、最近動きがいいなと思って、在庫が100反あるのに、プラスで50反作ったことがあるんですよね。
それが結果的に良くて、お客様より「在庫を全て使いたい、その先もすぐにでも出してほしい」と言っていただけた案件がありました。たまたまですけど、とても感謝されましたし、早めに仕込んでおいてよかったなと思いました。
でも、それが在庫となるケースもあるので、難しいところですね。
ーなるほど。在庫のコントロールは他の課にはない課題ですね。
ー特に印象に残っている経験は?また、その時にどう感じましたか?
E氏:1番苦労した経験は、納期までに部材を全部揃えなければいけない時に、全然思い通りの色に上がらず試行錯誤したことですね。
染め方もちょっと特徴的で、綺麗に染まらなくて、客先に住み込みで14日間ほど滞在しました。ミーティングを重ねた結果、最終的に条件が揃って上がるようになったのですが、その時はお客様と喜びを分かち合った、 感動の瞬間でした!
ー先輩のあこがれポイントや名言はありますか?
E氏:キッチリしてるところは本当にすごいなと思っています。それから、生地の提案の幅や素材に関する知識が深くて、お客さんにも頼られてる存在なので憧れます。
ー確かに。お客さんも詳しい方ばかりの業界ですよね。そこの上を行くのはかなり大変なことですよね。
E氏:そうですね。先輩は、お客様から「これ、こうするとどう思う?」「このお客さんこういうこと言ってるけど、これって本当?」という感じで助言を求められていますね。お客様が答え合わせをしてるような感じです。
それはやっぱり深い信頼関係があってこそのことだと思います。
ーその先輩方ですが普段の仕事の範囲内だけで、あの知識のレベルに達するのか疑問に思いますが、どう思われますか?
E氏:それこそ、ジーンズソムリエ※5の資格を取っていたりもしますし。あとは綿花相場※6と為替を常にチェックするなど、仕事の範囲外でも皆動いています。
綿花相場で値段もだいぶ変わってくるんですよね。為替以上に値段が下がってるなとか。たとえば、綿花相場が下がっているのに、お客様が価格を上げてきたとするじゃないですか。その時は「なぜ上がってるんですか?」と言えますよね。「前回の綿花相場と為替がこれで、なんで梱(コオリ)※71,000円も上がるんですか?」と。情報に疑問を持ったら、自分の理解を深めるために状況を確かめたりもします。

※5 ジーンズソムリエ:ジーンズに関する幅広い知識を持つ専門家。ジーンズソムリエ資格認定試験に合格する必要がある。
※6 綿花相場:綿花の取引価格のこと。綿花は農作物なので、年によって収穫量や需要が変動するため、価格も変動する。
※7 梱(こおり・こり):梱包した綿糸・生糸などの数量を表す単位の名称。綿糸1梱は400ポンドで181.44キログラム、生糸1梱は9貫目で33.75キログラム。
ーこれからに期待することは?
E氏:まずは、先輩に頼らなくていいように一人前の営業マンになることですね。
ーそうですね。しかしあの先輩方を目指すのはハードルが高そうですね。
E氏:はい。僕はまだ追いつくのに日々精一杯な感じですが、絶対近づかないといけないと思っています!
ー生機チームの努力が垣間見れるお話を聞けて、とても勉強になりました。今後のKOWAを背負っているE氏の活躍を楽しみにしています。
