2026.6.8

【タオル業界用語辞典】アパレルの常識を覆す!タオルの世界

タオルは毎日使う身近な存在ですが、その世界には独特の専門用語や文化があります。 重さを表す「匁(もんめ)」、長さの単位「鯨寸(くじらすん)」、さらには“ふわふわ感”を生み出す特殊な織り技術まで。今回は、知ると少し誰かに話したくなる、タオル業界の豆知識をご紹介します。

タオル業界は別世界!独自のモノサシ

アパレル業界では「枚」で数えるのが当たり前。しかしタオル業界では「ダース」が基本。

長さも一般的な布地で使われるインチではなく「鯨寸(くじらすん)」、さらに重さの単位はグラムではなく「匁(もんめ)」、、、。アパレルの常識を揺さぶるような、タオルならではの専門用語が次々登場します。

<タオル業界でよく使う用語一覧>

用語 意味
ちきり・伸べビーム(織機にかける縦糸を巻きとるための芯棒)
伸べ繋ぎタイイング(縦糸を繋ぐ作業)
匁(もんめ)1匁=3.75g。数字が大きいほど厚手で高級感のあるタオルになる
ダース1ダース=12枚。たとえば生産ロットが40ダースなら合計480枚
先晒し織る前に糸を晒して染色する工程。今治地区では一般的な方法で、綿本来のやわらかさを引き出せる
後晒し織り上がった生地を晒してから染色する工程
ズブ染め後染めのこと
地経糸タオルの縦方向に通っている、パイルではない基盤となる糸
グランドタオルの土台となる地経糸
タオルの左右の端部分
ヘムタオルの上下の端部分
今治5秒ルールタオルの吸水性をチェックするテスト。タオルの一部を水に浮かべ、5秒以内に沈めば合格
甘撚り糸にかける撚りを少なくした糸
無撚糸撚りを極力少なくした糸。やわらかな風合いが特徴
筬割れ織工程でパイル糸が乱れて出てしまい、パイルに筋ができる状態
毛中タオルのパイル部分
テリーモーションタオルのパイルをつくるための特殊な織動作
下撚り単糸にかかっている撚り
上撚り双糸にかかっている撚り
鯨寸(くじらすん)長さを表す単位。1鯨寸=3.78cm
筬番(おさばん)1鯨寸の間に地経糸が何本入っているかを示す、タオルの密度を決める単位。たとえば、筬番40番なら40本の縦糸が織り込まれている

重さの単位『匁』が、なぜ主流なのか

タオルの重さには、江戸時代から続く重さの単位「匁(もんめ/1匁=3.75g)」が使われています。タオルは、フェイスタオルやバスタオルといった規格サイズがほぼ決まっているため、重さ(匁)さえわかれば、厚み・品質・用途をイメージできるからです。たとえば、200匁は薄手で速乾性が高いため業務用に。300匁は一般的な厚みの家庭用、400匁以上は厚手で高級感のあるホテル仕様といった具合です。

なぜ取引は『ダース』が基本?品質を守る『ダース匁』の知恵

アパレル業界では「枚」や「着」単位で数えるのが一般的ですが、タオル業界では「12枚=1ダース」が生産・梱包の基本単位。タオルは1枚ごとに重さのばらつきが出やすい性質があるため、12枚をひとまとまりにして平均値をとり、品質を判断する「ダース匁」という考え方が定着しています。
たとえば、現場で生産ロットが「40ダース」と言われれば、即座に「480枚」と換算。ダース単位で数量を管理するのも、タオル業界ならではの商習慣です。

タオル独自の基準『鯨寸(くじらすん)』と『筬番(おさばん)』

一般的な生地(布帛)では、1インチ(2.54cm)の間に縦糸・緯糸がどれだけ織り込まれているかで密度を測定します。一方、タオル業界のモノサシは独特。鯨寸(3.78cm)という単位を使い、1鯨寸の中に地経糸(縦糸)が何本織り込まれているかを筬番で表します。たとえば、筬番40番なら40本の縦糸が織り込まれている状態。タオルは、ベースとなるグランドの上にパイル(ループ)を立たせて織り上げる、極めて複雑な構造を持つため、布帛とは異なる専門性の高い独自基準が、今も大切に受け継がれているのです。

タオルは立体でできている!

タオルの肌触りや吸水性は、平らな布とはまったく異なる複雑な立体構造によって生み出されています。タオルならではの織りの仕組みと、ふんわり感を長持ちさせる秘訣を伝授!

タオルの命『パイル』と『地経糸』の関係

タオルの「パイル」とは、あのフワフワとしたループ状の糸のこと。パイルをしっかりと立ち上がらせるための土台となるのが、地経糸(じたていと)です。地経糸という強固な土台があるからこそ、その上に立つパイルが美しく並び、装飾のようにタオルに表情が生まれます。

パイルを立たせる特殊な織り動作の仕組み

平らな服地とは異なり、タオル特有のフワフワとしたパイルは、『テリーモーション』と呼ばれる特殊な織り動作によってつくられています。緯糸を織り込む際に、筬(おさ)を打ち付ける位置を絶妙に変化させ、ループを形成。糸を巧みに操るタオル織機ならではの精密な動きによって、タオル特有の立体感が生まれています。

※日本タオル織商連合会HPよりの引用です

タオルは、パイル糸を一時的に“遊ばせる”ことでループを形成しています

良いタオルを長く使うためのヒント

せっかく良いタオルを選んでも、使い方次第で風合いは大きく変わります。

タオルの心地よさを長く保つには、まず柔軟剤の使用は控えめに。繊維がコーティングされ、パイルが抜けやすくなってしまうからです。

洗濯の際は、たっぷりの水を使うと、タオルがゆったりと水の中を泳ぎ、摩擦を最小限に抑えられます。できればタオルを単体で洗うと、風合いを損ないにくく、より理想的です。

使用後は放置せず、すぐに洗って色移りや不快なニオイの発生を防ぐのもポイント。干す前にはタオルをしっかり振ってパイルを立たせると、乾燥後のゴワつきが抑えられ、ふんわりとした肌触りを保ちやすくなります。

タオルを知れば、暮らしの質が変わる

毎日何気なく使っているタオル。そこには、高度な技術と職人のこだわりが凝縮されています。その背景を知ることは、暮らしの質を支える道具の価値を知ること。タオルは単なる消耗品ではなく、長年培われた技術の結晶なのだと実感できるはずです。

次回は、そんなタオルへの奥深さに魅了され、タオルソムリエを目指す営業マンの奮闘記をお届けします。