2024AW Première Vision Paris & Milano Unica 出展レビュー
世界最高峰の2大テキスタイル展と位置付けられる、Première Vision Paris<プルミエール・ヴィジョン・パリ>とミラノのMilano Unica<ミラノ・ウニカ>。2024年AWシーズンに向けた、KOWAの出展&提案内容のレビューをお届けします。
両会場には、世界中からバイヤーが来場。さまざまな素材との出会いや、ビジネス創出の場として活気ある商談が行われていました。
日本からの出展も増加しており、世界的パンデミックによる重い空気が払拭されつつあります。同時に世界的に人とモノの流れが復活し、多様化が加速するファッションマーケットのニーズへ、より敏感な対応が求められているのも実感しました。
2月の2024年SS向けの同展示会では綿素材のニーズが高かった経緯を踏まえ、得意の綿製品を打ち出す生地チームと、ダウンジャケットを打ち出す製品チームの、雰囲気が異なる2軸の展示内容に。
解放感ある2面のガラス張りから見える、キャッチーなカラーダウンジャケットに多くの来場者が魅了され、足を止めてくれました。
パリ・ミラノ両展の 全体的な印象として、前回より引き続き"サステナブル"をテーマに大きく打ち出している流れは変わりません。サステナブルであるうえで、変わったタッチ、テクニカルな構造や加工などに、ニーズや注目が集まりつつある傾向です。
「Dear Cotton」原点回帰から未来へ
The Cotton New Finish(綿の新加工)
Cordura Nyco(綿コーデュラナイロン)
Premium Heavenly cotton(超長綿)
Wellact(サステナブル素材)
New Synthetic(新合繊)
Blue Blue(デニム )
CURETEX(生分解性和紙)
素材ゾーンでは ー Dear Cottonー をテーマに、KOWAの得意な綿へ原点回帰したコレクション展示に。加工や原料にこだわった定番の人気商品に加え、新たなオリジナルデニムや和紙素材をラインナップ。
とくに反響が良かった素材は、綿花の王様・スビンコットンを使ったデニムシリーズです。光沢や柔らかさに驚く方も多く、沢山のピックアップが入りました。
超長綿(ちょうちょうめん)を用いたカテゴリー(Premium Heavenly cotton)は、引き続き来場者から支持を獲得しています。なかでも 100/2使いのライトモールスキン素材が人気素材としてランクイン!
サステナブル素材を用いたカテゴリー(Wellact)は引き続きニーズが高く、日本国内と比較しヨーロッパではサステナブル要素はよりマストであると感じます。
なかでも、使用後に植物を育てる肥料として生分解可能な和紙繊維「CURETEX」とアップサイクルビジネスには、多くの来場者の注目が集まりました。
「ATELIER.K」既存イメージを覆すダウンジャケット
製品チーム(ATELIER.K)では、カラフルなカラーリングのダウンジャケットが来場者の注目を集めました。
「天然繊維を得意とするKOWA」の既存イメージを一転させるダウンジャケットを打ち出したのです。
「KOWAってダウンもやっているんだね」と多くの方に驚かれ、素材から製品まで一貫して生産可能な"対応の幅"がある面もアピールしました。
着ているのを忘れるかのような<超軽量ダウン>とともに、来場者の注目を大いに集めたのが<あと染め(製品染め)ダウン>。
KOWA定番の綿素材にあと染め(製品染め)を施し、フェード感を出したダウンジャケットです。
ダウンジャケットに高圧染色をかけるテクニックは、職人の確かな技と技術者の深い知識があったからこそ実現可能に。
染色担当者と密に連絡をとり、通常の製品染めでは得られないドライタッチな風合い、凹凸のあるナチュラルな表面感、深みのあるビンテージ感を、敢えて上質な素材に施し、絶妙な風合いの仕上がりに。
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KOWAの大きな強みである綿。
しかし従来の綿ではなく、強撚にする・ナイロンと混紡する・シルクノイルと交織する…といった、メイドインジャパンの意義をより強みとして活かしている点が、世界を相手に差別化できる武器として手ごたえを感じています。
合繊ライクな加工をしたファインな細番ツイルや、コーデュラとの混紡など、綿でありながらテクニカルなタッチの素材が上位を占め、高く評価されている点に注目です。