冬の必需品!ダウンジャケットと中綿ジャケット

天然繊維が祖業のKOWAですが、実はダウンや中綿を使ったもの作りも得意!

軽くて温かく、スタイリッシュな防寒着として、現代のファッションに欠かせないアイテムとなっています。そんなダウン・中綿について、豆知識から最新のトレンドまで、深く掘り下げていきましょう。

羽毛の歴史と生産地の意外な秘密

羽毛利用の歴史は1000年も前にさかのぼり、ふわふわの綿毛に包まれる安寧を求め、人々はさまざまな工夫をしてきたのてす。

かつて、羽毛は野生の水鳥から採取されていましたが、現在は野生鳥類の保護のため、家禽化されたアヒルやガチョウから採取しています。

羽毛の歴史と綿毛の秘密「やさしい温かさを求めて」

羽毛の歴史は古く、北欧のヴァイキングがすでに1000年も前から「羽毛布団」として使用していたという記録も残されています。保温性の高い羽毛は、寒い地域に住む人々にとって欠かせないものでした。

いっぽうで、ダウンジャケットが私たちの生活にすっかり馴染んでいるように思えますが、ルーツを辿ると、1930年代に量産が始まり、日本での着用の歴史はわずか40年ほど。歴史は意外に新しいのです。

私たちが普段目にする鳥の羽は「正羽」と呼ばれ、飛ぶために必要な硬い羽です。ダウンジャケットや羽毛布団に使われるのは、鳥の体の中にある「綿羽」と呼ばれるふわふわとした羽毛。綿羽が空気層を作り出すことで、高い保温性を発揮します。ダウンジャケットは、綿羽を「ダウン」と呼び、軽くて暖かい素材として衣服に利用しています。

現在羽毛は高い保温性から、寒い冬を快適に過ごすための必需品として、世界中で愛されているのです。

羽毛の生産地の意外な事実「食卓からアウターへ」

私たちが普段使っているダウンジャケットの原料となる羽毛は、実は食用のガチョウやアヒルの羽根を再利用したものが多い事実をご存知でしょうか。

ダウン製品の主要な産地として、ハンガリー・フランス・ポーランド・カナダといった欧米諸国や、中国、台湾、東南アジアなどのアジア諸国が挙げられます。これらの国々では、ガチョウやアヒルを食用として飼育しており、その副産物として羽毛が得られています。

例えば、フランスではフォアグラ、中国では北京ダックなど、ガチョウやアヒルの肉や内臓を食文化に取り入れている地域が多く、必然的にこれらの家禽の養殖が盛んです。

養殖されたガチョウやアヒルから得られる羽毛は、高品質で大量に供給されるため、ダウン製品の原料の産地として最適。

羽毛製品は、食文化と深い繋がりがあるという意外な一面も持ち合わせているのです。

ダウンは保温 フェザーは弾力

ダウンとは、水鳥の胸から採取されるタンポポの綿毛のようなフワフワとした綿羽。

ダウンは保温性が高い天然繊維で、放射状に伸びた極細の羽枝が空気を抱え、その空気が冷たい外気を遮るため、高い蓄熱効果をもたらします。

一方フェザーとは、腹や背中に生える軸付きの羽根です。保温性は劣りますが、弾力に富み、ダウンが潰れるのを抑えて回復させる役目を果たします。

アヒルよりガチョウが高品質

羽毛の主な種類として、ダック(アヒル)とグース(ガチョウ)が挙げられますが、品質においては、グースの方が高品質です。なぜなら、羽毛はダウンボールが大きいほど多くの空気を蓄えられ、保湿性が高まるからです。グースはダックに比べて体が大きいため、大きく成長した高級なダウンボールが採取できるのです。

良質なダウンはどこで採れる?

良質な羽毛は、主に寒冷地、特に北緯45~53度(ダウンベルト)の国々で採取できます。大きく分けると、ヨーロッパ・北アメリカ・中国が挙げられるでしょう。

ヨーロッパ・・・ポーランドやハンガリーが有名です。これらの国で採れるダウンは、ダウンボールが大きく、特に高品質なため、ワンランク上の産地と言えるでしょう。

北アメリカ・・・極寒となるカナダの北極圏付近に、野生に近い環境で飼育されている水鳥がいるため、質の高い羽毛が採れます。

アジア・・・中国の吉林省のフォレストグースは、野生に近い環境で育てられており、クオリティが高いのが特徴です。

フィルパワーとは?

ダウンの復元力=かさ高性の数値です。

一定の条件下で1オンス(約28.4g)の羽毛を圧縮し、どれだけ自然に復元するかを表した単位であり、数値が高いほど空気をよく含むため、保温性に優れるダウンと言えます。同じボリュームのウェアを作る場合、FP(フィルパワー)が高いほどダウンは少量で済むので、より軽量に仕上がります。

サスティナブルな取り組み

品質の高いダウンは、100年も200年使えると言われているのをご存じでしょうか。

そんなダウンだからこそ、大切に長く着たいところですが、デザインが古くなると処分してしまう人が多いのが現実です。

そこで、捨てられたダウンジャケットを回収してダウンのみを再利用したリサイクル・ダウンの活用が広まっています。回収されたダウンは、着ていた人の汗や汚れなどが付着しているため、精製が最も重要です。

何度も洗うことで油分や汚れが落ち、ダウン本来の風合いが蘇るのです。

ダウンといっても種類はたくさん・・・

中綿とは?

中綿とは、ポリエステルなどの化学繊維で人工的に作られた綿で、さまざまな種類があります。

ダウンと比較すると水に強く、洗濯がしやすくて低価格などのメリットがありますが、保温性はダウンに劣る部分も。

いっぽうで、吸湿発熱性に優れたものや耐久性に優れたものなど、機能が加わった機能中綿も流通しています。

中綿の種類

中綿は、大まかに分けると以下のような種類があります。

【レギュラー中綿】

ハリやコシがあるので、縫製がしやすく偏りが出にくいのが特徴。

キルト加工においても生産性が高く、衣類以外に資材用に活用するのも向いています。

【機能中綿】

薄くて軽量、柔らかく、保温性に優れています。

環境に配慮した素材や、軽さと暖かさを追及したものなど、機能中綿の中でもさまざまな特徴が見られます。

【粒中綿】

一般的な中綿のようなシート状ではなく、中綿の繊維が粒になっています。

嵩高性に優れているためシルエットが美しく、保温性にも優れています。

ダウンと中綿、何が違うの?中綿の新たな可能性

天然素材であるダウンは保温力の高さが魅力。しかしどうしても価格帯は高くなります。

いっぽう化学繊維である中綿は、価格は安いものの、ダウンと比較すると保温性が低いのが一般的です。

しかし現在では、ダウンと比較した際のデメリットを解消した、新たな中綿素材も開発されています。

KOWAダウンのスペシャリストI氏が語る!

専門知識が必要なダウン作りにおいて最も欠かせない存在がパタンナーのお仕事。

そんなダウンのスペシャリストともいえるKOWAパタンナーI氏に直撃インタビューしてみました。

Q.ダウン製品を作っていくときに一番重要なことは?

I氏:「ダウンそのものを知る」ということだと思っています。

 デザイン・着用目的に応じ、どのくらい暖かくしたいか?どのくらい軽くしたいか?どうしたら動きやすいか?

などを想定し、適正なダウンを使用することを大切にしています。

当然パターン設計と連動し、着心地の良さを追求していかなければいけません。

 

Q.昨今は中綿が注目されていますがそれについてはどう思われますか?

I氏:多くの機能性を持った中綿が開発されていて、ダウンとは違った表現が可能になり、

よりファッションアイテムとして広がっていくことが想定されます。

ダウン同様「中綿を知る」ことが、重要であり、その上でその特性を活かすパターン・仕様を追求していきたいと思っています。

 

Q.最後に、これからダウンを作りたいと思っている方にメッセージをお願いします。

I氏:素材・附属との相性や、適した仕様で仕上げるための、縫製技術も理解していなければ 

良い商品は出来上がりません。

生産する工場との連携が重要になり、お互いにコミュニケーションを密に取りながら

検討・検証を繰り返して行くことも重要です。

 

より良い商品を作るよう努力し続けることが大切だと思います。